2012 .12 .28RECOMMEND ALBUM 2012
挟間美帆『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』

挟間美帆
『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』
ユニバーサルミュージック 発売中


ユミバーサルミュージック挟間美帆HP :
http://www.universal-music.co.jp/hazama-miho

 山下洋輔、佐渡裕というクラシック界とジャズ界の巨匠が絶賛している才媛。その言葉に興味を引かれつつも、いかにも音大卒業といった感じのお嬢様系コンサバ・ファッションと、NYでジャズを学びました、という自信が漲っているアーティスト写真に正直に話すと、最初挟間美帆のデビュー・アルバム『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』をすぐ聴く気になれませんでした。でも、今はそういう先入観こそが素晴らしい作品との出会いを潰してしまうことだとあらためて感じさせられています。

 まずアルバム冒頭の『Mr.O』から圧倒され続けます。なにがすごいかというと、さまざまな楽器が複雑に絡み合う演奏に3D映画を観ているような立体感があること。この楽曲についてご本人は、「音の遊園地」と表現していますが、ジャズ・バンドにストリングスが加わった音世界がスリリングで、美しく、同時にとても新鮮に響きます。 インタビューを読むと、ソロの即興演奏以外は譜面を彼女自身が書いているそうです。

 収録9曲中レディー・ガガの『パパラッチ』を除く(この選曲も興味深いですね)、8曲を挟間美帆が作曲。プロデュースも彼女自身が手懸けています。レコーディングでは指揮を務めて、『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』と『ビリーヴィング・イン・マイセルフ』の2曲でピアノも演奏しています。

 国立音楽大学卒業後、NYの名門マンハッタン音楽院大学院でジャズ作曲科を専攻。その卒業記念として、NYでレコーディングされたのが『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』です。ご本人の言葉によれば、ストリングを多用するのは、クラシックの勉強をしてきたことで、オーケストラの音に一番親しみがあること。同様にトロンボーンよりホルンが欲しくなるとのことです。とにかく楽器の選び方、配色とでも言いたくなるような使い方が洒脱であり、鮮やかで、随所でハッとさせられます。なかでも個人的には『トーキョー・コンフィデンシャル』のヴィブラフォンの演奏などに心ときめいてしまいます。

山中千尋『AFTER HOURS 2』

山中千尋
『アフター・アワーズ2』
ユニバーサル・ミュージック 発売中
通常盤 CD
限定盤 CD+DVD


ユニバーサル・ミュージック 山中千尋HP :
http://www.universal-music.co.jp/chihiro-yamanaka/

 亡くなったピアニスト、オスカー・ピーターソンへのトリビュート・アルバムとして、2008年に発表した『アフター・アワーズ』の続編。今回は、トリビュート作品ではありませんが、前作と同じようにピアノ、ベース、ギターという編成でレコーディングしています。

 通常ジャズのピアノ・トリオというのはピアノ、ベース、ドラムですよね。そのドラムの代わりにギターが参加しているわけで、つまりリズムを奏でるのはベースのみ。ドラムがないジャズ?と思われるかたがいるかもしれませんが、これがとてもエレガントで、山中千尋のたおやかなピアノをゆったりと満喫することが出来ます。

 と言っても決して肌を優しくなでるような演奏ではなく、ピアノとギターによる異色の連弾など、スリリングな演奏を楽しめます。

 タイトルの『AFTER HOURS』とは“営業後に”といった意味の言葉ですが、よくジャズ・ミュージシャンがショウの後で自分達の楽しみとして、観客がいなくなったクラブのステージなどで演奏することがあります。そのことを彼らは、“AFTER HOURS”と呼び、営業後の最高の過ごし方として愛していますが、このアルバムは、まさにそんな雰囲気。ステージではピアノとドラム、ベースのレギュラーな編成で演奏した後、男性ならちょっとネクタイを緩めて、女性ならハイヒールを脱いで、ステージにはいなかったギタリストとのセッションを試してみる。いい意味でのリラックスした雰囲気が休日にピッタリだと思います。

 演奏している曲は、2曲のオリジナルを除いて、有名なスタンダード。この親近感が沸く選曲でもオススメします。

<収録曲>
1 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
2 ウェイキー・ウェイキー(オリジナル)
3 ドリフト・アパート(オリジナル)
4 ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス
5 我が心のジョージア
6 アイル・クローズ・マイ・アイズ
7 モーニン
8 ビューティフル・ラヴ
9 スケーティング・イン・セントラルパーク
10 枯葉
11 かつて…。(限定盤ボーナス・トラック)
11 時さえ忘れて(通常盤ボーナス・トラック)

<パーソネル>
山中千尋(p)、アヴィ・ロスバード(g)、中村恭士(b)、脇義典(b)

トニー・ベネット『ビバ・デュエッツ』

トニー・ベネット
『ビバ・デュエッツ』
ソニーミュージック 発売中


Sony Music トニー・ベネットHP :
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/TonyBennett/

 昨年全米チャートで初登場1位になった大ヒットアルバム『デュエッツII』に続く、デュエット企画第3弾アルバム。今回は、ラテン系シンガーとデュエットしています。

 日本でも人気のアーティストからご紹介すると、クリスティーナ・アギレラとは『ステッピン・アウト・ウィズ・マイ・ベイビー』を。なぜアギレラ?と思われる方もいるでしょう。実は、彼女の父親がラテン系アメリカ人ということで、これまでにもラテン・アルバムをリリースしたりしているのです。

 マーク・アンソニーとは『フォース・ワンス・イン・マイ・ライフ』、グロリア・エステファンとは『フ―・キャン・アイ・ターン・トゥ』をデュエット。彼らのようにアメリカで育ったアーティストは、英語で歌っていますが、メキシコ出身のタリアやドミニカ共和国出身のファン・ルイス・ゲーラとはトニーが英語で、パートナーがそれぞれスペイン語か、ポルトガル語で歌っており、その語感の違いを楽しむことが出来ます。

 今回も軽快にスウィングする気品に満ちたトニーのヴォーカルを堪能することが出来ます。全収録曲などについては、ソニーのサイトをご覧ください。

 また、ひとつビッグニュースがあります。『デュエッツII』で最高の共演を果たしたレディー・ガガとジャズ・アルバムを作る話が進行しているそうです。レディー・ガガが直接トニーに電話をかけてきて、「あなたとジャズ・アルバムを作りたいのだけれど」と依頼してきたとのこと。どんな作品になるのか、すごい楽しみです。詳細が見えてきたら、またご報告しますね。

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