No.38  リー・モーガン

ディジー・ガレスピーのバンドでハード・バップの新星として注目を浴び、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの花形プレイヤーとしてファンキー・ジャズのシンボルのような存在にもなったトランペッターと言えば、リー・モーガンです。トランペットを軽やかに歌うように吹くことに関して彼の右に出るものはいません。
リー・モーガンは、1938年にフィラデルフィアで生まれました。14歳からトランペットを手にするようになり、15歳の時には自分のバンドを結成しダンスホールなどでプロとしての活動をスタートさせます。その後、ピッツバーグのクラブを訪れて演奏していた時に、たまたまやってきたアート・ブレイキー、ディジー・ガレスピーと共演。そこでのプレイが評価され、ディジ・ガレスピーのビッグ・バンドに18歳で大抜擢されます。ソロ・パートでも大々的にフィーチャーされたモーガンは、早熟の天才として注目を集めます。
同じ年に早くも名門ブルーノートから初リーダー作を発表。その年の前半に交通事故で急逝したクリフォード・ブラウンと入れ替わるようにして、ハード・バップのトップ・トランペッターの座へ登り詰めていきます。1957年には、そのクリフォードに捧げた「アイ・リメンバー・クリフォード」を自身3枚目のリーダー作に吹き込み、一世一代の名演と絶賛されます。
1958年にガレスピー楽団を離れ、次にアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに加入。ファンキー・ジャズの超名曲として知られるタイトル・ナンバーで有名な名盤『モーニン』からレコーディングに参加して、グループのフロントマンとして活躍します。そして、いつしかモーガンは、ファンキー・ジャズのヒーローのような存在になっていきます。
ところが、1961年に麻薬中毒のため健康に支障をきたし、帰郷して静養。一時シーンから遠ざかります。が、1963年にカムバックしてニューヨークに舞い戻ると、この年の暮れにブルーノートでモーガンの決定的な代表作『ザ・サイドワインダー』を吹き込みます。ここでモーガンは当時一大旋風を巻き起こしていたロックの要素をジャズに融合したジャズ・ロックにアプローチします。タイトル・ナンバーには8ビートが取り入れられ、センセーショナルな話題を呼びます。結局このアルバムはブルーノート始まって以来の大ヒットとなり、全米チャートで25位を記録しました。
華々しく復帰を飾ったモーガンは、ジャズ・メッセンジャーズに再加入。その後、1965年からはソロに転じてレギュラー・グループを率いて順調に活動します。しかし、1972年2月18日にニューヨークのジャズクラブ『スラッグス』に出演中の休憩の合間に、愛憎関係のもつれにより愛人ヘレン・モアに射殺され、33歳の若さでこの世を去ったのでした。

『ザ・サイドワインダー』
(EMI)

全曲がモーガンのペンからなるナンバーで占められた入魂の復帰作。ガラガラ蛇を意味するタイトルは当時のテレビ番組に登場していた怪物の名前から。粋で鯔背なモーガンのトランペットが8ビートに乗って映える。
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