No.37  トニー・ウィリアムス

アート・ブレイキーやマックス・ローチ、エルヴィン・ジョーンズによって確立されたモダン・ジャズ・ドラムのテクニックをさらに飛躍させ、ポスト・バップ時代の寵児となったのがトニー・ウィリアムスです。そして、トニーは、フュージョン全盛時代を彩る代表的ドラマーとしても知られています。
トニー・ウィリアムスことアンソニー・ウィリアムスは、1945年にイリノイ州シカゴで生まれました。父親がジャズ・サックス奏者だったためトニーも幼少から音楽に親しみ、9歳でドラマーを志します。10代半ばになると、プロ活動を開始。16歳の時にボストンのクラブで専属ドラマーとして演奏しているところをサックス奏者のジャッキー・マクリーンにスカウトされ、彼のグループに加入。これを機にニューヨークへ進出します。
さらに1963年、弱冠17歳にして、帝王マイルス・デイヴィスのバンド・メンバーに大抜擢されます。他にハービー・ハンコック、ロン・カーター、ウェイン・ショーターを擁した、この人呼んで“黄金のクインテット”の一員として、トニーは、それまでの常識を打ち破る革新的なドラム・スタイルを提示して脚光を浴びます。そして、1964年には初リーダー作『ライフタイム』を発表。フリー・ジャズ寄りの音楽性を披露します。結局、マイルスのグループにはエレクトリック・マイルス期の本格的な幕開けとなった、1969年のアルバム『イン・ア・サイレント・ウェイ』まで在籍しました。
マイルスの元から独立すると、早速トニーは自らのグループを立ち上げます。ライフタイムと命名したそのバンドには、ギターのジョン・マクラフリンとオルガンのラリー・ヤングが参加。この伝統的なオルガン・トリオの編成でトニーが挑んだのがジャズ・ロックでした。彼らの初アルバム『エマージェンシー!』で聴けるサウンドは、その後に勃興するクロスオーヴァー~フュージョンの時代を先取りするものでした。続くセカンド作では、あのクリームのベーシスト、ジャック・ブルースを迎え、さらにロック寄りにシフトしていきます。しかし、この作品を最後にマクラフリンが自身のバンド、マハヴィシュヌ・オーケストラ結成のため脱退。ライフタイムは、低迷期を迎えます。1975年にはアラン・ホールズワースという新たな敏腕ギタリストを迎えニュー・ライフタイムとして息を吹き返すものの、2作を残すのみで解散となります。
1977年にはハービー・ハンコックが中心となったV.S.O.P.クインテットに参加。また同じ年にハンク・ジョーンズ、ロン・カーターとともにグレイト・ジャズ・トリオを結成。これを機に再びジャズへと回帰していきます。1980年代中盤には自己のグループを立ち上げ、1997年2月23日に心臓発作により51歳の若さで急逝するまで、独自のジャズを深化させていきました。

『エマージェンシー!』
(ユニバーサル)

ライフタイムのデビュー作にしてジャズ・ロック時代の幕開けを告げた一枚。トニー、マクラフリン、ヤングの3人が叩きまくり弾きまくり、パワフルなロックとスリリングなジャズの魅力を融合。
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