No.36  ジョー・パス

チャーリー・クリスチャンが切り開き、ウェス・モンゴメリーが進化させたジャズ・ギターを完成させた、偉大なるプレイヤーがジョー・パスです。その独学で身に付けたとは信じられない超絶技巧のギター・テクニックは、まさに彼に与えられた称号“ヴァーチュオーゾ=巨匠”に相応しいものです。
ジョー・パスことジョセフ・アンソニー・パサラクアは、1929年にニュージャージー州ニューブランズウィックに生まれました。ほどなくして父マリアーノの仕事の関係でペンシルヴァニア州ジョンズタウンに移ります。そして、9歳から父に買い与えられたギターを弾き始め、我流でマスターしていきます。14歳の時にはジャズ・ギターの源流であるジプシー・スウィングの創始者ジャンゴ・ラインハルトのギターを聴いて大いに感銘を受けます。また、この頃からパーティー・バンドに加入して演奏するなど、早くもプロとしての活動をスタートさせています。
ハイスクールを卒業すると、本格的なプロ・ミュージシャンを目指してニューヨークに進出。世はビバップ華やかなりし頃で、ジョーも様々なセッションに参加し腕を磨きます。しかし、次第にドラッグに溺れていき、20歳を過ぎると薬物中毒で入退院を繰り返すようになります。その後、ロサンゼルスに移って活動しますがドラッグ禍からは抜け切れず、サンタモニカにある麻薬中毒者の更生施設であるシナノンに入所。ここでようやく約10年間にわたって苦しめられた薬物依存から脱します。
そして、1962年に完全復帰して、回り道をしながらついに初リーダー作『サウンド・オブ・シナノン』をリリース。続いて発表した1963年の『キャッチ・ミー』で高評価を受けると、ジョーは34歳にして《ダウンビート》誌で新人ギタリストの1位に選出されます。1964年には敬愛するジャンゴ・ラインハルトに捧げた『フォー・ジャンゴ』を作り上げ、さらに評価を高めます。
1970年からは音楽プロデューサー、ノーマン・グランツが設立したパブロ・レーベルに所属し、エラ・フィッツジェラルドとの共演盤などにより、さらなる商業的な成功を収めます。そして、1973年にソロ・ギターの可能性を究極に追求した名盤として誉れ高い『ヴァーチュオーゾ』を発表。以降これはシリーズ化され、ジョーのライフワークのようにもなります。
その後、後進の育成にも意欲を示し、世界各地でギター・クリニックを開催。その模様をライヴ録音したレコードもリリースされました。1994年5月23日に肝臓癌のため惜しくもこの世を去りましたが、“ヴァーチュオーゾ・スタイル”と呼ばれた超絶ギター・テクニックは後世に伝承されています。

『ヴォーチュオーゾ』
(ユニバーサル)

数々のスタンダードを独自の解釈でソロ・ギターにアレンジした珠玉の一枚。フル・アコースティックのギターをピックアップを通さずマイクで音を拾って録音したレコーディング手法も独特。
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