No.32  ベニー・グッドマン

1930~40年代に黄金時代を誇ったスウィング・ジャズ。そのブームを先頭になって引っ張り、“スウィングの王様”とも称されたクラリネット奏者でビッグ・バンドのリーダー、それがベニー・グッドマンです。
ベニー・グッドマンは1909年にポーランドのワルシャワからの移民である両親の元に12人兄弟の九男としてシカゴで生を受けます。貧しい家庭ながら洋服の仕立て屋を営む音楽好きな両親の薦めもあり、10歳からクラリネットの習得に励みます。幸運なことに生徒の家柄や人種にこだわりなく、安い授業料で音楽教室を開講していたドイツ人音楽教師フランツ・シェップに出会い、彼に師事してクラシック音楽の基礎を身に付けました。そして、グッドマンの興味は次第にクラシックからジャズへと移っていきます。
地元シカゴがニューオーリンズに次ぐジャズの街として栄えていたことも幸いして、13歳で早くもプロのクラリネット奏者としてデビューを果たします。そして、16歳の時にベニーは大きなチャンスを掴みます。サックス奏者ギル・ロディンに見出され彼のボスであるベン・ポラックが率いる当代一流のジャズ楽団に加入するのです。ベニーはここで初のレコーディングも経験することになります。
1928年にベン・ポラック楽団が拠点をニューヨークに移すとベニーの音楽的な交遊関係は急激に広がり、翌年には退団してソロイストの道を歩み始めます。瞬く間に売れっ子ミュージシャンになったベニーは1932年、ついに自身のビッグ・バンド、ベニー・グッドマン楽団を結成します。 
  初めはホテルのラウンジやダンスホールのBGMとしての演奏活動でしたが、ロサンゼルスのパロマー・ボールルームでの演奏が“新しいジャズ”として評判を呼び、突如ベニー・グッドマン楽団のレコードが大ヒット。全米各地を引く手数多で回るようになり、1938年にはクラシック音楽の殿堂カーネギー・ホールでジャズとしては初のコンサートを開くまでになったのです。
“キング・オブ・スウィング”と崇められたベニーのもうひとつの偉業として、まだ人種差別が激しかった時代に、黒人ミュージシャンを積極的に登用したことが挙げられます。ライオネル・ハンプトンやテディ・ウィルソンとは小編成のコンボも組んで評判を取りました。また、出自とも言えるクラシックにも愛着を示し、モーツァルトの『クラリネット協奏曲』を吹き込んだりもしました。
1955年には、その半生を描いた伝記映画『ベニー・グッドマン物語』も製作され、若くして生ける伝説となりました。貧しい家庭から身を起こしアメリカン・ドリームを掴んだ英雄として、1986年6月13日に心臓発作でこの世を去って以降もアメリカ国民から愛され続けています。

『ライヴ・アット・カーネギーホール1938(完全版)』
(ソニー)

カーネギーホールでの歴史的コンサートの実況盤。映画『スウィングガールズ』にも使われた「シング・シング・シング」は、ここでの演奏がきっかけに彼らの十八番となった。
←No.31 グレン・ミラー | No.33 デューク・エリントン→
PAGE TOP↑




LEGEND
アーカイブス一覧
File No.1 ビリー・ホリデイ
File No.2 エラ・フィッツジェラルド
File No.3 ラ・ヴォーン
File No.4 マイルス・デイヴィス
File No.5 ジョン・コルトレーン
File No.6 ビル・エヴァンス
File No.7 ウェザー・リポート
File No.8 ジャコ・パストリアス
File No.9 ルイ・アームストロング
File No.10 チャーリー・パーカー
File No.11 ソニー・ロリンズ
File No.12 ハービー・ハンコック
File No.13 パット・メセニー
File No.14 フランク・シナトラ
File No.15 チェット・ベイカー
File No.16 アート・ブレイキー
File No.17 チック・コリア
File No.18 マーカス・ミラー
File No.19 ディジー・ガレスピー
File No.20 スタン・ゲッツ
File No.21 ナット・キング・コール
File No.22 ジョージ・ベンソン
File No.23 デヴィッド・サンボーン
File No.24 バド・パウエル
File No.25 チャールス・ミンガス
File No.26 ミルト・ジャクソン
File No.27 エルヴィン・ジョーンズ
File No.28 キース・ジャレット
File No.29 ケニー・G
File No.30 カウント・ベイシー
File No.31 グレン・ミラー
File No.32 ベニー・グッドマン
File No.33 デューク・エリントン
File No.34 ウェス・モンゴメリー
File No.35 ロン・カーター
File No.36 ジョー・パス
File No.37 トニー・ウィリアムス
File No.38 リー・モーガン
File No.39 オーネット・コールマン
File No.40 ウェイン・ショーター
File No.41 モダン・ジャズ・カルテット
File No.42 カーメン・マクレエ
File No.43 マンハッタン・トランスファー
File No.44 ヘレン・メリル
File No.45 メル・トーメ