No.30  カウント・ベイシー

スウィング・ジャズのシンボルとも言える存在の一人であり、特にビッグ・バンド・ファンからは熱烈な支持を受けるバンド・リーダーでピアニストと言えば、もちろんカウント・ベイシーです。
カウント・ベイシーことウィリアム・ベイシーは、1904年にニュージャージー州のレッドバンクで生まれました。母親がピアニストだったので幼い頃から母に手ほどきを受けてピアノを習得していきます。ほどなくしてベイシー少年は地元でバンドを組みますが、初めはドラマーを志していました。ところが、その頃の音楽仲間に、後にデューク・エリントン楽団でも活躍するソニー・グリアーがいて、彼の演奏を聴き自信喪失。ドラムを諦めてピアノへの転向を決意します。正式なピアノのレッスンを受けるとともにハーレムに出掛けてファッツ・ウォーラーと親しくなり、独特の奏法であるストライド・ピアノやウォーラーお得意のオルガンなどを彼から学びます。
20歳頃から本格的にプロ活動を開始して、ブルース歌手の伴奏をしたりアメリカ南部を旅するボードビル一座にピアニスト兼役者として加わるなどしてキャリアを積みます。そして、仕事で訪れた当時のアメリカ屈指の歓楽都市ミシガン州カンザスシティで運命が開けていきます。当地のベーシスト、ウォルター・ペイジと知り合い、1927年に彼が率いるブルー・デヴィルズというバンドに加入。さらに、そこで名を上げると1929年には当時カンザスシティで最も人気のあったベニー・モーテン楽団に迎えられます。1932年にはベイシー自らがそのバンドのリーダーになりますが、1935年に脱退。そして、ついに好敵手デューク・エリントンの“デューク=公爵”に対抗する“カウント=伯爵”の名を冠したカウント・ベイシー楽団を旗揚げします。
シカゴを経てニューヨークへ進出したベイシー楽団は“オール・アメリカン・リズム・セクション”と謳われたジャズ史上最高の誉れ高いの4リズムとトランペットのレスター・ヤングをはじめとする花形プレイヤーを擁して爆発的な人気を獲得します。ちなみにこの時代の彼らを“オールド・ベイシー”と呼びます。それに対して第二次世界大戦を経て、不況とブームの終焉で経営が成り立たなくなり一端は解散したビッグ・バンドを再編して復活させた1950年代のベイシー楽団は“ニュー・ベイシー”と呼ばれます。
1960年代に入るとベイシー楽団はビートルズなどのポップスをカヴァーする作品を立て続けに発表して、一部からは“ベイシー・マシーン”と揶揄されたりもしました。が、その後1968年にアレンジャーのサミー・ネティスコを迎え入れ、カンザスシティ・ジャズの伝統を取り戻すと大きく息を吹き返します。以後、ベイシーは1984年に十二指腸ガンで亡くなる直前まで、最後は車椅子でステージに上がりながらスウィングとビッグ・バンドの楽しさを伝えるために世界中を回り続けました。そして、彼の死後もその精神は受け継がれカウント・ベイシー・オーケストラは現在も活動継続中です。

『アトミック・ベイシー』
(EMI)

トランペットのサド・ジョーンズやドラムのフレディ・グリーンなど、ニュー・ベイシー時代から発展した強力なメンバーで固められた1957年作。アトミック・ベイシーと呼ばれる時代の代表作。
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