No.28  キース・ジャレット

ジャズの芸術性を追求する第一人者であり、現役ジャズマンのなかで最も熱烈な支持者を持つピアニスト&コンポーザーと言えば、キース・ジャレットです。
1945年に誕生したキース・ジャレットは、5人兄弟の長男としてペンシルバニア州アレンタウンで幼少期を過ごします。7つ下の弟にはシンガー&ギタリストのスコット・ジャレットがいます。キースは3歳からクラシック・ピアノを習い始めますが、すぐに神童ぶりを発揮し7歳でプロとしてピアノ・リサイタルを開き、既存曲以外に自作曲も披露したといいます。ピアノの他にドラムやソプラノ・サックス、ヴァイブなども次々に習得し、マルチ・プレイヤーぶりも発揮。そして、16歳の頃には2時間に渡るソロ・ピアノ・コンサートをすべて自作曲で開催したというから驚きです。しかし、そんなクラシックの天才少年もハイスクール時代にジャズへ傾倒していくようになります。学校を卒業すると、奨学金を得てボストンのバークリー音楽院で一年間ジャズを学びます。そして、そのままボストンでプロのジャズ・ピアニストとして活動を開始するのです。
1965年にはニューヨークに進出して、その年の暮れにはあのアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズの一員となります。1967年にはドラムのポール・モチアン、ベースのチャーリー・ヘイデンとのトリオで初リーダー作を発表。そして、1970年にはマイルス・デイヴィスのグループにも参加します。そこには既にチック・コリアがいて二人はツイン・キーボードで競い合いました。1971年には現在まで在籍するドイツのレーベルECMと契約。初のソロ・ピアノ作品を発表します。また、この頃にデビュー作でのトリオにサックスのデューイ・レッドマンを加えたレギュラー・カルテットを結成。これは後に“アメリカン・カルテット”と呼ばれます。そして、1973年に発表した『ソロ・コンサート』は完全即興のプログラムで行ったコンサートをLP3枚組に収録したもので、シーンに衝撃を与えました。以後、この即興ソロ・ピアノ演奏はキースのライフワークとなり、咳ひとつすることも憚られる緊張感あるライヴを作り上げていきます。1974年からはヤン・ガルバレクら北欧出身のミュージシャン3人ともカルテットを結成。こちらは“ヨーロピアン・カルテット”と呼ばれました。1970年代はこの二つのカルテットとソロ・ピアノの他、クラシックや現代音楽にもアプローチして多彩な活動を繰り広げました。そして、1980年代に入るとキースは新たなチャレンジを試みます。1983年にドラムのジャック・ディジョネット、ベースのゲイリー・ピーコックとのトリオを結成し、有名曲を取り上げるプロジェクトとしたのです。これは“スタンダーズ・トリオ”と呼ばれ、それまでオリジナル曲に拘った活動を展開してきたキースの新生面を切り開き、現在に至るまで続いています。1990年代後半には慢性疲労症候群という難病に悩まされ休養を余儀なくされますが、約2年ほどで克服して復活。再び精力的に活動しています。

『ザ・ケルン・コンサート』
(ユニバーサル)

完全即興ソロ・ピアノ・ライヴ盤の第2弾でケルンのオペラ・ハウスでの公演を収録。即興とは信じられないほどの美しいメロディが次から次へと紡ぎ出される奇跡の名盤。
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