No.26  ミルト・ジャクソン

比較的身近な楽器でありながら、ジャズでもポップスでもクラシックでも、何故か陽の当たることが少ないヴィブラフォン。しかし、それを花形楽器に押し上げたプレイヤーがいます。彼こそはモダン・ジャズ・カルテット(MJQ)の看板で“ジャズ・ヴァイブの王様”と謳われたミルト・ジャクソンです。
1923年にデトロイトで生まれたミルト・ジャクソンは7歳からピアノを弾き始め、ほどなくしてヴィブラフォンに転向します。当時デューク・エリントンやカウント・ベイシーらのスウィング・ジャズに魅せられていたミルト少年が最も影響を受けたのは、やはりヴァイブ奏者でバンド・リーダーでもあったライオネル・ハンプトンでした。ミシガン大学に進み音楽を専攻しながらデトロイトのコンボで演奏していたミルトでしたが、ここで大きなチャンスが訪れます。1945年、その演奏がディジー・ガレスピーの目に留まり、彼にスカウトされニューヨークに進出することとなったのです。ガレスピーのビッグ・バンドで活躍した後にフリーランスとなると、チャーリー・パーカーやセロニアス・モンクらビッグ・ネームとの共演の機会も増えていきました。
1949年にはウッディ・ハーマン楽団に加入。一年後に退団すると再びガレスピー楽団に参加します。そして1951年に、このガレスピー楽団の同僚だったピアノのジョン・ルイス、ベースのパーシー・ヒース、ドラムのケニー・クラークとともに自身のリーダー・バンド、ミルト・ジャクソン・カルテットを結成するのです。翌年にはイニシャルによる略称が同じとなるモダン・ジャズ・カルテットと改称。MJQが本格的にスタートします。時はまさにビバップからハード・バップへの移行期で、強力なリード奏者のアドリブ・プレイ重視から、メンバー同士のインタープレイに重きを置くスタイルへと時代は変化していました。そんななかで、レギュラー・コンボとして息の合った演奏を聴かせる彼らの人気は徐々に上がっていきました。1955年にドラムがコニー・ケイに替わると完全にメンバーは固定化し、ミルトの持つブルース・フィーリングとルイスが持ち込んだクラシックの室内楽的な要素が融合した独特のサウンド・スタイルも確立されます。1960年代には日本のモダン・ジャズ人気を担う中心的役割も果たしました。その頃には並行してソロ活動も行っていたミルトは、ジョン・コルトレーンやウェス・モンゴメリーと共演しながらソロ・アルバムも制作。マレットを片手に2本ずつ持ち共鳴管を微妙に操作しながらの繊細かつダイナミックなプレイをグループとソロ活動の両方で精力的に披露しました。1974年にミルトの退団によりMJQは惜しまれつつ一度解散しますが、1981年に不動のメンバーで復活しファンを喜ばせました。ミルトはMJQと自己のグループの両方で精力的に活動を続けますが、1999年に肝臓癌のためニューヨークで死去。MJQも永遠の解散となったのでした。

『コンコルド』
(ユニバーサル)

ドラムがコニー・ケイに替わり、その後の不動のメンバーが出来上がったMJQの1955年発表作。ミルトのヴァイブを中心としたアンサンブルの妙が見事な逸品。
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