No.24  バド・パウエル

ビバップを代表するピアニストと言えば、セロニアス・モンク、そしてバド・パウエルでしょう。特にパウエルが後進に与えた影響は大きく“バップ・ピアノの父”、“モダン・ジャズ・ピアノの開祖”とも呼ばれ崇められています。
1924年にニューヨークで生まれたバド・パウエルはピアニストの父を持ち、祖父もギタリスト、兄はトランペッターで弟もピアニストという音楽一家の中で育ちます。6歳からクラシック・ピアノを学び、ベートーベン、ショパン、シューマン、リスト、ドビュッシーなどの音楽に親しみ演奏していたそうです。ティーンエイジャーになるとジャズへと興味が向かい、ビリー・カイルやアート・テイタムらのピアニストに影響を受けます。そして、ハイスクールを中退してニューヨークのクラブやレストランで早くも本格的にジャズ・ピアニストとしての活動を開始します。この頃にセロニアス・モンクと知り合い、彼に才能を認められ同じピアニストとして薫陶を受けます。
1944年にはクーティ・ウィリアムスのバンドに入団し、徐々にその天才ぶりが話題になっていきます。ディジー・ガレスピーやデクスター・ゴードンら大物との共演の機会も得て、1940年代半ばには一躍注目の的となります。そして、1947年にドラムのマックス・ローチ、ベースのカーリー・ラッセルとのトリオを結成。名盤の誉れ高き『バド・パウエルの芸術』をレコーディングします。これをきっかけに、当時の主流だったピアノ、ギター、ベースのトリオから、ピアノ・トリオはベース&ドラムを従えた編成がスタンダードになったと言われるほど、エポック・メイキングな作品となりました。一方で、ドラッグやアルコールの過度の摂取により1940年代中盤から精神病に悩まされるようになり、1947年末から一年半近くは入院生活を余儀なくされます。しかし、退院してから再度入院となるまでの約2年は、短い期間ながら全盛期と呼べる精力的な活動歴を残しました。1951年には麻薬の常習で逮捕され、獄中で精神病の発作を起こすなどボロボロの状態に陥りますが、電気療法などを受け1953年に復帰。好不調の波はあるものの再び活発な演奏活動を繰り広げ、『ザ・シーン・チェンジズ』などの名盤もこの時期に生まれています。1959年にはパリに居を構え拠点をヨーロッパに移します。環境を変えてドラッグ中毒からも抜け出したかのように見えましたが既に身体は蝕まれていて、凱旋帰国した1964年夏から2年後の1966年に、ニューヨークの病院で肺結核のため息を引き取りました。映画『ラウンド・ミッドナイト』の原作はパウエルのパリ生活を支えたデザイナーのフランシス・ポードラが書いたもので、主人公はパウエルがモデルとなっています。

『ザ・シーン・チェンジズ』
(EMI)

全盛期とはやや趣の違うマイナー調でメロディアスな作風の逸品。全曲パウエルのオリジナルで、オープニングを飾る<クレオパトラの夢>は特に日本では人気の高い有名曲。
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