No.15  チェット・ベイカー

そのジェームス・ディーンを想わせるアウトロー的で翳りのあるルックスもあって、絵になるジャズマンの筆頭にいつも挙げられるのが、トランペッター&シンガーのチェット・ベイカーです。
1929年にオクラホマで生まれますが、1940年に家族でLA近郊のグレンデールに転居し、少年時代をカリフォルニアで過ごします。ハイスクール時代にマーチング・バンドに所属してトランペットを本格的に始め、同時に楽理も学んでいきます。1946年から2年間は兵役にとられますが軍隊のバンドで活動し、ここで当時のビバップなど先端のジャズに触れ始め傾倒していきます。ちなみに当時のアイドルはもちろんディジー・ガレスピー。除隊後はLAの大学で音楽を専攻しプロのジャズ・ミュージシャンとしての活動を始めます。そして、1950年に2度目の徴兵にとられますが、戻った1952年に西海岸ツアーに来ていたチャーリー・パーカーのオーディションに合格し、パーカーとの共演を果たします。これをきっかけに知名度は上がり人脈も格段に広がっていきます。直後にジェリー・マリガンのカルテットに加入し、次第に西海岸の中心人物として活躍していきます。この時期、東海岸ではハード・バップの嵐が吹き始めていましたが、それとは肌合いの違うスマートで爽やかなカルフォルニアらしいウエスト・コースト・ジャズのブームを築き上げていきます。東のマイルスに対する西のチェット。互いにクールな持ち味の二人が人気を二分しました。また、その繊細な歌声を活かしたアルバムも発表し、シンガーとしても注目を集めます。彼の歌のスタイルはボサノヴァのオリジネイターであるアストラッド&ジョアン・ジルベルト夫妻やAORのマイケル・フランクスなどにも影響を与えたと言われます。
一方で、1950年代半ばから麻薬に手を染め始めてアメリカ国内のみならずヨーロッパでも逮捕されるなど、徐々に生活は荒んでいきます。1970年には麻薬がらみのトラブルで殴られ、前歯5本をおる怪我を負いトランペットが吹けなくなります。大先輩ディジー・ガレスピーの尽力でようやく1973年に音楽シーンに復帰。その後は1988年にアムステルダムのホテルでの謎の転落死で生涯を閉じるまでヨーロッパを拠点に活動しました。その破滅的な人生は写真家ブルース・ウェーバーが撮影した映画『LET'S GET LOST』でも描かれています。

『チェット・ベイカー・シングス』
(EMI)

その中性的とも表現されるアンニュイでセンシティヴな歌声の魅力を前面に出した異色作。であるとともにジャズ・ヴォーカルの定番アルバム。
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