2012.05.28ライラ・ビアリの
“ミュージック・ジャーニー”
ライラ・ビアリのコンサートは、朗らかに明るく、幸せな気持ちにさせてくれます。ジャズだけれど、伝統的な概念に縛られることのない、しなやかな感性のジャズ。曲によって声のトーンが変わり、表情豊かな歌を聴かせてくれるのと同時に、ピアノの演奏はとてもイマジネイティヴ。その音楽が生まれる背景、原点について話をうかがいました。

キース・ジャレットとの出会い

子供の頃からクラシック・ピアノを学んできましたが、ある時右手を怪我してしまい、クラシックの道を断念することになってしまいました。ジャズとは高校時代に参加したバンドで出会いましたが、当初ジャズを好きになれなかった。チャーリー・パーカーのようなクラシック・ジャズは、理解不能だし、ジョン・コルトレーンは、いつも怒りを音楽にぶつけているようで、あまりに多くの音符を演奏している。そんな印象があったからです。でも、それが180度大きく変わったのがキース・ジャレットとの出会い。彼の演奏は、ジャズとクラシックの要素を融合させたもの。こういうジャズもあるんだと感動しましたね。

大学では音楽と化学を専攻

大学では奨学金を得て、化学と音楽の両方を専攻しました。当初は、医者になった姉妹同様に私も医学か、心理学の道に進もうと思っていました。両親もそれを望んでいたけれど、最終的に私が選んだのは音楽の道でした。

トリオのケミストリー

ジョージ・コーラー(b)、ライネル・ルイス(dr)とのトリオで演奏するようになったのは2007年から。最初にライヴで試してみて、良かったのでレコーディングにも彼らが参加するようになりました。2人は共に素晴らしいテクニシャンで、超クリエイティヴ。同じ曲を演奏していても、毎回違うインプロビゼーションで新たな展開をみせるので、私にとってはチャレンジングの連続で、いい刺激になっています。
加えて日本でのコンサートは、毎回いい意味での緊張感があります。観客ひとりひとりがどんな音も聴き逃さないようにと、真剣に演奏を聴いてくれているのがわかるので、こちらも一瞬たりとも気が抜けませんね。

ピアノの演奏がとてもイマジネイティヴ

映像が浮かんでくるようなピアノ? そう言ってもらえるのは嬉しいですね。演奏している時は、他の2人の演奏に耳を澄ましているので、何か具体的な映像を頭に浮かべたりはしていませんが、作曲している時は、自分の内から沸き起こるイマジネーションを大切にしています。それが演奏から伝わっているのであれば、とてもうれしいですね。

スタンダードのアレンジも独創的

アレンジもどちらかというと作曲するようなイメージで取り組んでいます。それは自分の個性を前面に出したいというわけではなく、私のなかでヴォーカル曲であれば、歌詞の内容を一番に考えて、そこから広がるイメージや私なりの解釈を深めることで、アレンジを膨らませていくことになります。加えて、その時々の私が反映されていることはありますね。たとえば、ライヴで演奏した『ワン・ノート・サンバ』は、大学卒業直後のアグレッシヴだった頃にアレンジした曲なので、若き日の私を自分でも感じることができます。

『トレイシング・ライト』を発表したのが2010年、新作の予定は?

2013年春頃にジャズのアルバムをリリースする予定です。それからまだ確定ではないのですが、ドラマーの夫と組んだ別プロジェクトで、何かアルバムが出来ないかと今探っているところです。おそらくジャズとは異なる私をお見せできるかと思います。
また日本でみなさんにお会いしたいです。

《取材を終えて》
ナチュラルメイクの彼女は、アーティスト写真の印象とは全く異なり、フレンドリーで、ゆっくりとした口調で日本人の私にもわかりやすい英語で話してくれました。
その中で特に印象的だったのがジャズ・ミュージシャンになった今でもチャーリー・パーカーやジョン・コルトレーンの演奏は、理解不能だという話。彼女の正直な言葉は、そのまま私達女性に「それでいいのか」と思わせてくれるもので、ジャズにもいろいろなタイプがあって、その中から好きになる演奏、アーティストを聴けばいいんだとあらためて安堵させてくれるものでした。
ライラ・ビアリ
『トレイシング・ライト』
ヤマハミュージックアンドビジュアルズ

スタンダードやオリジナル以外に、k.d.ラングや ビリー・ジョエル、ダニエル・ラノワらの楽曲も カヴァー。選曲にもセンスが感じられる。
【PROFILE】
カナダ出身のシンガー、ピアニスト、ソングライター。現在はNYを拠点に活動している。ソロ活動以外にスザンヌ・ヴェガ、スティング、クリス・ボッティといったアーティストのピアニストとしても活躍している。1児の母でもある。
日本ではアルバム『海、そして空へ』、『トレイシング・ライト』の2枚がリリースされている。

レコード会社HP
http://pastoraltone.main.jp/catalog/ymcj-10004.html
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