Vol.4  2011.7.26『絵を描く理由』
新作『AFTERSHOCK』は、9歳でトランペットを始めて、10代で早くも米軍キャンプやキャバレーで演奏するなど、およそ50年のキャリアを誇る日野皓正さんが「今回の作品は、どんなにすごいヤツに批判されても、“冗談じゃない。オレがやりたいと思ったんだからさ”と初めて言える作品」だと語る自信作。長いキャリアの中で、レコーディング後にこれほど繰り返し聴いた作品はないそうです。
何が彼にそう言わせるのか。制作を始める前に息子さんで、ベーシストである日野賢二さんに「今度オレ違うことをやるからさ。ヒップホップの感覚を取り入れてね」と語り、賢二さんの友人であるDJ hondaをゲストに迎えています。日野皓正さんがジャズミュージシャンではなく、DJと共演するのは初めてのこと。その成功に「人が駄作だと言っても構わない。とにかくこの作品が出来て嬉しい」と言う。
自分に厳しいアーティストがここまで語る作品について、ご本人のインタビューをもとにご紹介していきたいと思います。
「基礎がないのが強み。オリジナリティを出すことが出来る」

JJ:音楽だけではなく、絵画でも自分のクリエイティヴィティを発揮したいと考えているのでしょうか。

「知らない。そんなことは考えていないよ。オレは、すごく孤独なわけ。ご飯を食べるのもいつもひとりで、同じところに行く。誰かに電話して、一緒に飯を食おう、なんて誘ったことはないから。ひとりでポツンといる(笑)。そうなると、何かをクリエイトしたくなる。ジッとしていられない性分なのよ。だから、スキーやゴルフにのめり込んだんだけれど、そんなオレを見て、ワイフが“あなたはアーティストでしょ!!  それなのになんで朝から晩までゴルフの練習をしているの”と言うわけよ。それで水彩画の道具を買ってきたのが最初だった」

JJ:水彩画に見えませんね。

「水彩画をそれっぽく描かないで、油絵のようにドライヤーで乾かして、その上からまた塗るという手法で最初は書いていたんだけれど、それがおもしろくて。自分が音楽で模索しているのと同じだなって思ってね。何もない無の状態から有を生むのは音楽も絵も同じ。しかも後で聞いたんだけれど、親戚とか、祖母も絵を描いていたらしいんだ。おばさんが前衛日本画家で、祖母は、15歳で寺に呼ばれて襖絵を描いたことがあるという」

JJ:絵にもエネルギーが満ちていますよね。

「デッサンは、いい加減。美大で学んだりしていないから、基礎がない。遠近法とかも把握していないけれど、習っていないというのはある意味で強みでもあって、オリジナリティを出すことが出来る。人に“音が聴こえてくるような絵ですね”と言われて、いい気持ちになっている(笑)」

JJ:何でも極めたい性格ですか。

「そうね。しつこい性格。孤独だから出来るのもかもしれないし、負けず嫌いなのかもしれない。両方だね」

JJ:孤独というのは意識的にそういう状態に自分を置いていますか。

「孤独は運命のようなもの。生まれた時からそうだったと思っている。それから自分で何かを作り出すということは孤独じゃないと出来ない。友達といつもつるんでいたら、何も生まれないでしょ。絶対にモノを作る人は、孤独じゃないといけない」

そんな風に語る日野さんですが、別に人嫌いなわけではありません。反対にここ数年、子供達にJAZZを教えることに熱心に取り組んでいます。次回は、子供達にJAZZを教える理由についてうかがいましょう。
日野皓正
『AFTERSHOCK』
ソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナル
好評発売中
【収録曲】
Inter Motion / Chip Talk / Aftershock / isn’t always / TKNYO2 / What Know / Jon Kyeong
【参加ミュージシャン】
(下記写真左から)日野賢二(eb) 小沼ようすけ(g) 石井彰(pf) 日野皓正 須川崇志(ab) DJ honda


◆ライヴ・スケジュール
7月25、26日 ブルーノート東京
http://www.bluenote.co.jp
◆オフィシャルサイト
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/SR/TerumasaHino/
バックナンバー
日野皓正


◆vol.5「子供達にJAZZを教える」→ (2011.08.02更新)
◇vol.3「今の心境」→ (2011.07.19更新)
◇vol.2「DJ hondaと初共演」→ (2011.07.12更新)
◇vol.1「9歳から始まったトランペッター人生」→ (2011.07.05更新)

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