Vol.3  2011.7.19『今の心境』
新作『AFTERSHOCK』は、9歳でトランペットを始めて、10代で早くも米軍キャンプやキャバレーで演奏するなど、およそ50年のキャリアを誇る日野皓正さんが「今回の作品は、どんなにすごいヤツに批判されても、“冗談じゃない。オレがやりたいと思ったんだからさ”と初めて言える作品」だと語る自信作。長いキャリアの中で、レコーディング後にこれほど繰り返し聴いた作品はないそうです。
何が彼にそう言わせるのか。制作を始める前に息子さんで、ベーシストである日野賢二さんに「今度オレ違うことをやるからさ。ヒップホップの感覚を取り入れてね」と語り、賢二さんの友人であるDJ hondaをゲストに迎えています。日野皓正さんがジャズミュージシャンではなく、DJと共演するのは初めてのこと。その成功に「人が駄作だと言っても構わない。とにかくこの作品が出来て嬉しい」と言う。
自分に厳しいアーティストがここまで語る作品について、ご本人のインタビューをもとにご紹介していきたいと思います。
「オレがやりたいことをやったんだから、いいんだよって初めて言える作品」

JJ:最高のレコーディングだったことは、前回のインタビューでよくわかりました。その作品を作り終えた今の心境を教えてください。

「これまではDJを迎えて、息子とも共演して、ポップな作品を作ったら、どう批判されるかと怖くなっていた。きっと“日野は、ジャズを忘れやがって”と言われるだろうと。ジャズというのはアフリカ系アメリカ人の伝統文化なわけよ。ジャズの巨匠達は、その歴史を伝承していく義務を背負っている。だから、保守的な姿勢で批判をしたがる。でも、オレの場合は、その責務を負っているわけじゃないから、彼らと同じビバップをやる必要はない。ヨーロッパでも、アフリカでも、東洋でも取り入れて、グローバルな作品を作れば、いい作品が出来ると信じている。“ビバップは、君達がやっていればいい。オレはなんでもやれる”と思えたところで、プレッシャーから解放された。反対にヒップホップを取り入れることで、若い人達から「このオジさん、おもしろいことをやっている」と言ってもらえるかもしれない。
だから、初めて恐れずに、自分でやってみようと思った作品なのよ。そして、完成した今は、すごいヤツに批判されたとしても、冗談じゃない!! オレがやりたいと思ったんだから、それでいいんだって胸を張って言える。それが嬉しいんだよね」

JJ:反対にこれまではいろいろなプレッシャーを背負っていたわけですね。

「息子の賢二に“今度DJと一緒にやってみたいのよ”と話したら、”オヤジわかった。知り合いを当たってみる“と紹介されたのがDJ hondaだった。彼とは新しい出会い。実際にやってみてすごいアーティストだと思ったよ」

JJ:レコーディングは、DJ hondaを含めて、全て即興演奏をふんだんに交えた、ライヴ方式で行われたと聞きました。

「ジャズ界は狭い世界。今も言ったようにジャズは、アフリカ系アメリカ人が生んだ文化。70年代に初めて渡米した時に、彼らが日本人を必要としていないことを肌で知ったからね。自分達の音楽を取ろうとしているとか、自分達だけがソウルを持っているという風に考えている。当然日本人にもソウルがあるわけだけれど、そうは思っていない。だから、サイドメンには使うけれど、仲間には入れない。エージェントにも何度も日本人だから使えないと言われたからね。 でも、オレが何をしているかは見ている。79年にCMに出演した時も“日野は映画スターになった”なんて言われたよ。そういう世界だから、どこかでミュージシャンからのプレッシャーというのは感じていたじゃないかと思うよ」

そのCMがまた最高にカッコよくて、70年代から80年代にかけて人気沸騰となったわけですが、その陰でそんなことがあったとは。次回は、ジャケット写真にも使われ、個展も開くほど、精力的に取り組んでいる絵画についてうかがいたいと思います。
日野皓正
『AFTERSHOCK』
ソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナル
好評発売中
【収録曲】
Inter Motion / Chip Talk / Aftershock / isn’t always / TKNYO2 / What Know / Jon Kyeong
【参加ミュージシャン】
(下記写真左から)日野賢二(eb) 小沼ようすけ(g) 石井彰(pf) 日野皓正 須川崇志(ab) DJ honda


◆ライヴ・スケジュール
7月25、26日 ブルーノート東京
http://www.bluenote.co.jp
◆オフィシャルサイト
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/SR/TerumasaHino/
バックナンバー
日野皓正


◆vol.5「子供達にJAZZを教える」→ (2011.08.02更新)
◆vol.4「絵を描く理由」→ (2011.07.26更新)
◇vol.2「DJ hondaと初共演」→ (2011.07.12更新)
◇vol.1「9歳から始まったトランペッター人生」→ (2011.07.05更新)

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