Vol.5  2011.7.13『JAZZとの出会い』

「昼はアイドル、夜はJAZZ。そこから新たな道が拓けました」

連載の最終回は、JAZZとフュージョンとの出会いについてうかがいたいと思います。

JJ:日本デビューした当時は、アイドル・シンガーでしたよね。それがなぜJAZZを歌うようになったのか、を教えていただけますか。

「ジャズのスタンダードに出会ったのはフィリピン時代です。あるピアニストから“スタンダードをレパートリーに入れた方がいいよ。何歳になっても歌える歌だから”と言われたんですね。そのアドバイスからポップ・ソングを歌う一方で、スタンダードを歌っていたのですが、当時はまだ若かったのでジャズを歌っているという意識はなかったですね。
それから来日して、アイドルとしてデビューしたのですが、その頃に六本木のジャズ・クラブ『バランタイン』に連れていかれて、峰純子さんのステージを観せていただいたことがあります。峰さんが歌う『ミスティ』に聴き入りました。私もジャズを歌いたい。その気持ちをオーナーの富田さんが察してくれたのか、“ここで歌ってみたい?”と声を掛けて下さったのがきっかけで、週1回の割合で『バランタイン』でジャズを歌うようになりました。もちろん最初からちゃんと歌えたわけじゃなく、歌うタイミングを間違えたり、失敗も多かった(笑)。
そこからどんどんジャズに興味を持つようになり、『バランタイン』の楽屋に置いてあった雑誌スウィングジャーナルを読んで、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーン、カーメン・マクレイといった女性ジャズ・シンガーのことを知り、彼女達のレパートリーを覚えていきました。
それから昼はアイドル、夜はジャズ・シンガーという生活が2年くらい続きましたね」

JJ:それが79年から80年にかけてのことですね?

「そうです。そのあとで映画『なんとなくクリスタル』の出演依頼が来ました。私の役柄は、流行のライヴハウスで歌うシンガーという設定。映画が公開された後、観客が一気に増えて、ライヴハウスに行列が出来る、という現象が起きました。その時点でジャズのレコードは、一切リリースしていなかったのに、映画とクチコミの力で知られるようになりました。ちょうどレコード会社との契約が切れる頃だったので、私としてはフィリピンに帰国しようと思ったのですが、そのまま日本で活動することになりました」

JJ:そして、1981年にアルバム『ファースト・ラヴのように』がリリースされるわけですね。

「その頃、ヴォーカリストを探していた、T-スクエアの安藤さんがジャズ・クラブ『アルフィー』に観に来てくれたんですね。そして、私のことを推薦してくれたみたいで、CBSソニー(当時)のA&Rが東芝のショウルームでやっていたショウケースに来てくれて。そこでA&Rの方からT-スクエアのヴォーカルではなく、ソロとしてCBSソニーからアルバムを出しませんか?と声を掛けて下さったのが今に至るきっかけです」

JJ:その作品がJAZZではなく、フュージョンの作品になったのはなぜでしょうか。

「フュージョンがブームだったこともあると思います。私にとってジャズというのは一種の“お守り”のような存在。アフリカ系アメリカ人の苦悩の歴史から生まれた音楽ですよね。ただ私としてはジャズを歌えるけれど、自分をジャズ・シンガーだと思ったことはないです。フュージョン・シンガーとも思っていません。ジャンルの垣根を超えて、あらゆる音楽を歌えるシンガー。それが若い頃から目指してきたシンガーだし、一生の課題だとも思っています」

帰国しようかと思っていた時に飛び込んできたチャンス。なんだか日本で活動することが運命だったような気がしますね。 マリーンの連載は、最終回を迎えましたが、何かリクエストや、質問などありましたら、事務局までメールでお願いします。お待ちしております。
マリーン
『INITIAL』
ソニーミュージック
好評発売中
【収録曲】
1.『ESP』 2.『ホワット・キャント・スピーク・キャント・ライ』 3.『マジック』 4.『ラヴィング・ユー』 5.『スキンドゥ・レ・レ』 6.『ピープル』 7.『サマー・ナイト』 8.『デジャ・ヴ』 9.『カム・フライ・ウィズ・ミー』(新曲)
【参加ミュージシャン】
安藤正容/野呂一生/須藤満/則竹裕之/安部潤/和泉宏隆ほか
【PROFILE】
フィリピン・マニラ生まれ。1978年に来日、当初アイドル歌手としてデビューしシングルを4枚発表するも、80年代からは本来希望していた本格的なジャズ・シンガーに転向。
1983年に発表したアルバム『デジャ・ヴー』(オリコンアルバム総合チャート最高位8位)や『マジック』(同5位)が共に20万枚を超えるヒットを記録。以後、スクエアやカシオペアに湧くフュージョン大全盛時代におけるディーヴァとして熱烈に歓迎され、ジャズ界の人気シンガーとして活躍。
その後、結婚を機にシーンの第一線からは距離を置きマイペースな活動を続けてきた。そして2007年、マリーンにとって9年ぶり、メジャーからは16年ぶりとなるアルバム『ジャズ&アウト/マリーンmeets本田雅人B.B.Station』を発表、本田雅人をプロデューサーに迎えてのこのコラボレーションALは大ヒットとなりジャズ・ファンに「マリーン健在」を強く印象付けた。
続くメジャー復帰第2弾で、マリーンのデビュー30周年を祝うものとなった『マリーン sings 熱帯JAZZ』(2009年)はカルロス菅野をプロデューサーに迎えての意欲作。
そして2011年、初心に戻ってフュージョンの王道を行く新作『INITILAL』を発表。豪華メンバーを迎えて、マリーンの歌がさらにパワフルに飛翔する。

◆レコード会社オフィシャルサイト
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/SR/Marlene/
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