Vol.7  2011.2.24『アルバム「トライソニーク」』
トライソニークで初めて制作したアルバム。オリジナル楽曲中心ですが、アメリカ人のジャズとも違い、アジアっぽい部分が感じられたり、スタンダードをモチーフにしていたり。それらはどこから生まれたものなんでしょうか。
アジア人のアイデンティティは自然に作品に反映されるものです

オーストラリア時代に始めた作曲。1枚目のアルバム制作時に“作曲とはどんなことか”と考え、2枚目のアルバムで“僕の個性とは”と悩みました。個性には育った環境が大きく関係すると思います。僕は、日本で生まれ、子供の頃は歌謡曲も聴いたし、高校時代にロックに夢中になった。それは否定できないことであり、僕のバックグラウンドでもあります。それをジャズのハードコアな人に話すと、「エッ!?」といった反応をされることもあります。
僕自身も理想の音とは違うからと、自分のバックグラウンドを否定したことはありますが、でも、ある時から人の反応を忘れて、好きな音とか、少し恥ずかしいようなメロディであっても自分に聴こえてくる音であれば、それは自分の中にあるものなので書いてみようと思うようになりました。そうすると、おもしろいことにやっぱり完成した曲の中にアジア・テイストとか、ナツメロを彷彿させる部分があったりするんですよね。
そのひとつがアルバムに収録されている『クアラルンプール』という曲です。マレーシアには以前ツアーで訪れたことがあります。イスラム圏の国ですが、華僑、マレー系、インド系の住民がいて、それぞれの言語、文化がひとつの国の中で絶妙に混じり合っている。そのうえ右肩上がりに経済が成長しているエネルギーが街に充満していて、それが観光客にも伝わってくる。そのポジティヴなパワーにインスパイアされて書いた曲です。当然アジアの国をテーマにしているので、アジア・テイストが盛り込まれた曲になっています。
アルバムの収録曲は、自分で書いたオリジナル曲ですが、たとえば、『テイク・ファイヴ』だと、書いているうちにどこか『テイク・ファイヴ』に似ていたので、ちょっとメロディを当てはめてみようと思って試すうちに出来た曲です。もちろんストレートに『テイク・ファイヴ』を演奏することも出来たはずです。でも、デイヴ・ブルーベックのオリジナルを超える演奏なんて出来るわけがない。でも、このトライソニーク版の『テイク・ファイヴ』には僕の声を溶け込ませることが出来たし、何より演奏していて楽しい。だから、レコーディングしました。そうじゃないと、演奏は出来ない。そう思います。

次はいよいよ最終回。すでに出演が決定している香港公演など、今後の予定について語ってもらいます。

1月19日に発売されたアルバム『トライソニーク』。弾きまくるハクエイさんのピアノがエネルギッシュでカッコよく、心が高揚してきます。また、例に出してくれた『テイク・ファイヴ』も緊張感のある即興演奏のなかにふと聴こえてくる、耳馴染みのあるメロディの心地好さ。“緩急”の絶妙なバランスが楽しめます。
ハクエイ・キム
『トライソニーク』
ユニバーサル/好評発売中
◆2011年アルバム発売記念ツアー
2月2日 稲毛Jazz Spot
3月25日 静岡・ライフタイム
3月26日 名古屋・ラブリー
3月27日 岐阜・バードアンドディズ
3月30日 桐生・ビレッジ
4月5日 ビルボードライブ大阪
4月8日 広島・スピークロー
4月9日 下関・ビリー
4月10日 ビルボードライブ東京
【PROFILE】
1975年京都生まれ。日本人と韓国人のクォーター。5歳でピアノを始め、高校時代にブリティッシュ・ロック・バンドの影響を受け、1994年にYAMAHA主催『ティーンズミュージックフェスティバル札幌』でベストキーボーディスト賞を受賞する。
高校卒業後にオーストラリアに語学留学。のちに音楽専門学校を経て、シドニー大学音楽院に入学する。在学中にオーストラリアを代表するピアニスト、マイク・ノックに師事。2005年に日本に帰国。5月にDIWよりアルバム『Open the Green Door』をリリース。フランスのジャズ誌・JAZZMANで4つ星の高い評価を得る。2006年に2ndアルバム『Home Beyond the Cloud』、2008年に3rdアルバム『Shadow of Time』をそれぞれ発表。そして、翌年に杉本智和、大槻”KALTA”英宣とトライソニークを結成する。トリオ名のTrisoniqueとはTri(3)+Sonic(音)+Unique(唯一無二)から作られた造語。

オフィシャルサイト http://www.hakueikim.jp/
バックナンバー
ハクエイ・キム


◆vol.9「ライブレポート」→ (2011.04.204更新)
◆vol.8「海外進出!」→ (2011.03.03更新)
◇vol.6「トライソニークの結成」→ (2011.02.17更新)
◇vol.5「ジャズではなく、インプロヴァイズド・ミュージック」→ (2011.02.10更新)
◇vol.4「恩師マイク・ノックの衝撃」→ (2011.02.03更新)
◇vol.3「オーストラリアに留学」→ (2011.01.28更新)
◇vol.2「ブリティッシュ・ロックに夢中」→ (2011.01.25更新)
◇vol.1「ピアノとの出会い」→ (2011.01.06更新)

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