Vol.5  2011.2.10『ジャズではなく、
インプロヴァイズド・ミュージック』
オーストラリアのジャズってあまり聴いたことがないのですが、どんな特長があるんでしょうか。
オーストラリア人は、自分達の音楽を作ろうとしている。若者が熱いんです

基本的にオーストラリアのジャズ・ミュージシャンは、ジャズとはアメリカの民俗音楽だと考えているんですね。だから、南半球に暮らす自分達がストレートにそれを演奏しても、本家には叶わない。それだったら自分達の個性を追求しようと、生き方や考え方を音楽に投影させる人が多いです。彼らはその音楽を
“インプロヴァイズド・ミュージック”と呼んでいます。その環境で僕はジャズを学んだわけです。
 だから、日本に帰国した時、僕の演奏は不思議なものに映ったみたい。スタンダードを演奏しても自分達が知っているものじゃない、異質なものを演奏しているという風に思われましたね。それからスタンダードを練習し直したので、スタンダードに関しては日本で学びました(笑)。
 オーストラリアは、南半球という地理的にも不利な環境にあり、文化が未熟だと思われているところがあります。実際にプリミティヴな面が未だに残されており、それがコンプレックスというわけじゃないですが、若い世代は自分達の文化を作り上げようと、結構必死に取り組んでいるので、現場にはいいエネルギーが溢れています。ジャズも然りです。10代後半から20代前半の同級生が文化、音楽についての自分の哲学を熱く語り合ったりするわけです。結構カルチャー・ショックでしたね、その真剣な姿は…。
 作曲は前回でもお話したようにオーストラリアで始めました。自分の生き方や考え方を音楽に投影させるということは、自分が裸になることと同じ。最初は出来なかったですね。音楽理論という制約も気になったし。それがやっていくうちに作曲も演奏もこの音だと信じれば、一般的な理論に合わなくてもいいんだと思えるようになりました。今も葛藤はありますが、何が正しい、間違っているということじゃなくて、もっと自由にジャズを考えてもいいんじゃないかと…。そうは言っても常に迷いはありますよね。

次回は、トライソニーク結成の経緯について語ってもらいます。お楽しみに!

オーストラリアでも、日本に帰国してもカルチャー・ショックというか、ギャップを感じてしまったというハクエイさん。でも、だからこそ彼のオリジナルが確立されているのだとも思います。ただ自由に演奏をと思う一方で、自分の活動を応援してくれている宇崎さんに「あまり行きすぎるな。難解な方向へ行くな」と言われているそうです。愛情あるアドバイスですよね。
ハクエイ・キム
『トライソニーク』
ユニバーサル/好評発売中
◆2011年アルバム発売記念ツアー
2月2日 稲毛Jazz Spot
3月25日 静岡・ライフタイム
3月26日 名古屋・ラブリー
3月27日 岐阜・バードアンドディズ
3月30日 桐生・ビレッジ
4月5日 ビルボードライブ大阪
4月8日 広島・スピークロー
4月9日 下関・ビリー
4月10日 ビルボードライブ東京
【PROFILE】
1975年京都生まれ。日本人と韓国人のクォーター。5歳でピアノを始め、高校時代にブリティッシュ・ロック・バンドの影響を受け、1994年にYAMAHA主催『ティーンズミュージックフェスティバル札幌』でベストキーボーディスト賞を受賞する。
高校卒業後にオーストラリアに語学留学。のちに音楽専門学校を経て、シドニー大学音楽院に入学する。在学中にオーストラリアを代表するピアニスト、マイク・ノックに師事。2005年に日本に帰国。5月にDIWよりアルバム『Open the Green Door』をリリース。フランスのジャズ誌・JAZZMANで4つ星の高い評価を得る。2006年に2ndアルバム『Home Beyond the Cloud』、2008年に3rdアルバム『Shadow of Time』をそれぞれ発表。そして、翌年に杉本智和、大槻”KALTA”英宣とトライソニークを結成する。トリオ名のTrisoniqueとはTri(3)+Sonic(音)+Unique(唯一無二)から作られた造語。

オフィシャルサイト http://www.hakueikim.jp/
バックナンバー
ハクエイ・キム


◆vol.9「ライブレポート」→ (2011.04.204更新)
◆vol.8「海外進出!」→ (2011.03.03更新)
◆vol.7「アルバム『トライソニーク』」→ (2011.02.24更新)
◆vol.6「トライソニークの結成」→ (2011.02.17更新)
◇vol.4「恩師マイク・ノックの衝撃」→ (2011.02.03更新)
◇vol.3「オーストラリアに留学」→ (2011.01.28更新)
◇vol.2「ブリティッシュ・ロックに夢中」→ (2011.01.25更新)
◇vol.1「ピアノとの出会い」→ (2011.01.06更新)

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【ハクエイ・キム インタビュー】

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【女性ジャズ・シンガー特集vol. 2
“ジャズは自由な音楽”】


【女性ジャズ・シンガー特集vol. 1
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