『毎日ジャズを聴きたい』vol.2 スタンダード編 収録アーティスト紹介
ある人気女性シンガーが「私は1940年代に生まれたかった」と発言したことがあります。
この時代に多くの名作ミュージカル映画、ブロードウェイ・ミュージカルが制作されて、その中から名曲が数々生まれたからです。その名曲に惚れ込み、ジャズ・ミュージシャンが挙って取り上げたことで、それらが今で言う”スタンダード・ナンバー“化されて世界中で愛されるようになりました。
その伝統は、今も継承されていますが、若い女性シンガーは、伝統をリスペクトしつつも、模倣から脱して、”ナチュラル“や”オーガニック“をキーワードに自分らしいジャズを歌うようになってきました。そんな今の感性で楽しめるスタンダードを集めました。

ヒラリー・コール  / Hilary Kole
歌が流れると、部屋がパッと華やぐ。ヒラリー・コールのヴォーカルにはそんな素敵な魅力があります。ブロードウェイで活躍した父を持つヒラリーは、子供の頃から音楽の英才教育を受けて育ち、NYのジャズ・クラブで歌うようになります。その歌は評判になりますが、彼女自身は自信が持てず、なかなかアルバムをレコーディングしようとはしませんでした。そんな彼女の背中を押したのがジャズ・ギタリストのジョン・ピザレリ。彼の言葉にようやく2009年にアルバム『魅せられし心』でデビューします。そして、2010年にはハンク・ジョーンズやデイヴ・ブルーベック、ミシェル・ルグランといったジャズ界を代表するピアニストとの共演盤『ユー・アンド・ゼア~デュエッツ』をリリース。ストーリーテリングな歌を聴かせてくれます。
【1】『イッツ・ラヴ』、【7】『ベター・ザン・エニシング』【13】『ジーズ・フーリッシュ・シングズ』with デイヴ・ブルーベック

ソフィー・ミルマン / Sophie Milman

ロシアで生まれ、イスラエルでジャズに出会い、移住したカナダでジャズ・クラブのジャム・セッションに加わったことがきっかけとなり、23歳でデビュー。1stアルバム『ソフィー・ミルマン』は、日本でも新人としては異例の大ヒットとなります。艶やかなハスキー・ヴォイスで、スウィングし、リズムを空間に刻むように歌うソフィー・ミルマン。その歌は、作品ごとに驚くほど成熟度を増し、アルバムではスタンダードはもちろんですが、幅広いジャンルから選曲しており、その選曲にも彼女のセンスが発揮されています。そして、スタンダードを歌う時はいつも「オリジナルを意識せず、ただ歌という素材を自分の人生と声だけで表現する」ことを自分に言い聞かせているそうです。そこからソフィーのオリジナリティが生まれているのです。
【2】『デイ・イン・デイ・アウト』、【15】『ビューティフル・ラヴ』
エミリー・クレア・バーロウ / Emilie-Claire Barlow

カナダ・トロント出身の35歳。父ブライアンが世界的に有名なブラスバンド、ボス・ブラスのドラマーだった関係で、エミリーは、幼い頃からジャズを聴き、歌をはじめピアノやヴァイオリンなど多くの楽器を習ってきました。現在はソロ・シンガーとして活動していますが、90年代から2003年までは父と一緒に活動。その後、独り立ちして、初めて自分でプロデュース、アレンジを手懸けたアルバム『ライク・ア・ラヴァー』で日本デビューを果たします。ジャケット写真で見る彼女は、大人の女性の雰囲気ですが、ヴォーカルは、スウィート。とりわけ高音域がチャーミングで、往年のジャズ・シンガーを彷彿させます。
【3】『明るい表通りで』、【6】『ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?』、【10】『ソ・ダンソ・サンバ』




ヘイリー・ロレン / Halie Loren


ジャズで思い浮かべる街といえば、ニューヨークですよね。大小さまざまなクラブがあり、世界中から腕に覚えありのミュージシャン、シンガーが集まってきます。言わば、ジャズを志す人の憧れの地です。ヘイリー・ロレンは、アラスカで生まれ、大学時代をオレゴン州で過ごし、ジャズを学びました。その高いスキルは、ファルセット・ヴォイスを効果的に使い、声が宙を舞うように響く、巧みなヴォーカル・ワークに表れています。声も透明感がある一方で、ハスキーでもあると、魅惑的。それでも彼女は、ニューヨークへは向かわず、今もオレゴンを拠点に活動しています。歌に都会色に染まっていないナチュラル感があるのはそれが理由かもしれません。2011年12月に新作『ハート・ファースト』をリリース。
【4】『バイ・バイ・ブラックバード』、【11】『枯葉』
フライド・プライド / Fried Pride
フライド・プライドは、ヴォーカルのShihoとギターの横田明紀男によるジャズ・ユニット。2001年に日本人として初めてアメリカのコンコード・レコードからアルバム『Fried Pride』でデビューしました。2004年にはマーカス・ミラー、ギル・コールドスタイン、マイク・マイニエリといった世界的なミュージシャンを迎えて、4thアルバム『That’s My Way』をレコーディング。この作品がきっかけとなり、コンサートを行うなど、海外でも本格的に活動するようになります。ジャズに限らず、幅広いジャンルからの選曲し、オリジナル曲も多くありますが、2011年2月にスタンダード集『フォー・ユア・スマイル』をリリース。ギターとヴォーカルによるスタンダードが新鮮に響きます。
【5】『バードランドの子守唄』
ケヴィン・レトー /  Kevyn Lettau

朝日が似合うような爽やかなヴォーカル。J-WAVEが開局した当初、ケヴィン・レトーが歌ったジングルが街に流れ、一躍注目のシンガーになりました。憶えていらっしゃる方も多いでしょう。10代でジャズに夢中になった彼女は、セルジオ・メンデス・グループを経て、91年にソロ・デビューします。ソングライティングも手懸けますが、セルジオのグループで活動した影響からでしょうか、ジャズとブラジル音楽、ポップを融合した音楽と、さらに得意とする軽妙なスキャットで高く評価されました。収録の『ハニーサックル・ローズ』でもスキャットがとても印象的。94年にアルバム『アナザー・シーズン』がヒットしています。
【8】『ハニーサックル・ローズ』、【12】『アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー』
noon / noon
冬のひだまりのようにほのぼのとした雰囲気のnoon。いつも自然体で、人懐っこい笑顔の持ち主でもあります。気負わず、でも、自分のやりたいことを確実に追求し、夢を叶えている。それが大阪出身のnoonに抱くイメージです。ハリー・コニックJr.の歌でジャズに目覚め、ジャズ・シンガーを目指して上京した時も何かコネがあったり、当てがあったわけでもありませんが、いい出会いに恵まれて、2003年にアルバム『ベター・ザン・エニシング』でデビューします。この一度聴いたら忘れられない声です。デビュー時から順調に活動を続け、1年に1枚から2枚のペースでアルバムを発表しています。2011年10月には新作『ワンス・アポン・ア・タイム』をリリースしています。
【9】『ワン・ノート・サンバ』、【14】『スマイル』






『毎日ジャズを聴きたい~女性スタンダード編』
ビクター 15曲 1200円

1『イッツ・ラヴ』ヒラリー・コール
2『デイ・イン・デイ・アウト』ソフィー・ミルマン
3『明るい表通りで』エミリー・クレア・バーロウ
4『バイ・バイ・グラックバード』ヘイリー・ロレン
5『バードランドの子守唄』フライド・プライド
6『ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?』エミリー・クレア・バーロウ
7『ベター・ザン・エニシング』ヒラリー・コール
8『ハニーサックル・ローズ』ケヴィン・レトー
9『ワン・ノート・サンバ』noon
10『ソ・ダンソ・サンバ』エミリー・クレイア・バーロウ
11『枯葉』ヘイリー・ロレン
12『アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー』ケヴィン・レトー
13『ジーズ・フーリッシュ・シングス』ヒラリー・コール withデイヴ・ブルーベック
14『スマイル』noon
15『ビューティフル・ラヴ』ソフィー・ミルマン

バックナンバー
digital linernote
PAGE TOP↑