『毎日ジャズを聴きたい』vol.1 女性オリジナル編 収録アーティスト紹介
ジャズは、19世紀末にアメリカで原型となる音楽が生まれて、20世紀に100年をかけて大きく発展し、世界中で愛される音楽になりました。
そして、21世紀となった今、ジャズの名曲、名演、名唱を聴いて育った若い世代がそれらの模倣ではなく、ジャズを軸にロックやポップ、ヒップホップ、フォークといったさまざまなジャンルの要素を融合させるなど、アーティストそれぞれの自由な感性が存分に反映された音楽を生まれています。
それによりジャズというジャンルの音楽性が広がり、可能性も飛躍的に高まっています。そこが今ジャズのすごくおもしろいところです。
『オリジナル編』にはそんな若い世代の女性シンガーのオリジナル楽曲を収録しています。
11名のアーティストの国籍もさまざまです。
ローカライズされたジャズから世界に飛翔くユニバーサルなシンガー、という新しい魅力に溢れています。
では、収録アーティストをご紹介していきましょう。

ポーリン・ロンドン / Pauline London

イタリア出身のシンガー・ソングライターです。90年代からジャズ・クラブなどで歌うようになり、2004年にアルバム『クワイエット・スカイズ』でデビュー。ボサノバやポップスを融合させたスタイリッシュなジャズを聴かせてくれます。ポルトガル語と英語で歌うサンバ調の【1】『アモール・パラ・ソナール』と、どこかレトロで、70年代の音楽を彷彿させる【13】『ウォーキン・オン・ザ・サンド』は、12月21日にリリースされる2ndアルバム『アンダー・ザ・レインボウ』からの曲。アルバム発売に先駆けて収録されました。


カルメン・クエスタ / Carmen Cuesta

しっとりとした大人の雰囲気のボサノバで魅せるカルメン・クエスタは、スペインで生まれ、1963年の名盤『ゲッツ/ジルベルト』に影響を受けながら育ちました。その彼女がスタン・ゲッツのマドリッド公演に出演していたギタリスト、チャック・ローブと恋に落ちて、1979年に渡米。結婚当初は、家庭を優先していましたが、90年代から活動を再開させます。2011年にアントニオ・カルロス・ジョビンをテーマにしたアルバム『私のボサノヴァ』を日本でもリリース。【2】『ジョビン』【12】『トリステ』は、その最新作からの曲になります。

ローリー・アントニオーリ / Laurie Antonioli

軽やかなスキャットが印象的な【3】『サンバ・ナデ・ブラマ』と、しっとりと歌うバラード【14】『ウィーン・ブルース』。ともにジャズの伝統を継承していることが伝わる、気品に満ちた歌ですよね。ローリー・アントニオーリは、ユニークなキャリアの持ち主です。シンガー・ソングライターとして活動する一方で、教育者でもあり、2000年代にはオーストリアの大学でジャズ・ヴォーカルを教えていました。2011年発表の新作『アメリカン・ドリームス』からの2曲は、その大学での同僚だったピアニストのフリッツ・バウアーと共作しています。




メッテ・ジュール / Mette Juul


メッテ・ジュールが生まれたデンマークもジャズが盛んな国。コペンハーゲンには優れた音楽学校があり、北欧諸国からの留学生も多いそうです。メッテのデビュー盤『カミング・イン・フロム・ザ・ダーク』にも同国を代表する一流ミュージシャンが参加しています。デンマーク語で歌うエモーショナルな【4】『私のワルツ』。英語とは違う語感が新鮮に響きます。【11】『ザ・ウェイ・ユー・クローズ・ザ・ドア』もジャジーなバラードです。透明感に満ちたハリのあるナチュラル・ヴォイスが魅力。アルバムではスタンダードも歌っています。

ベルジッタ・ヴィクトール / Bergitta Victor
ベルジッタ・ヴィクトールは、インド洋セーシェル諸島出身。ケニアでの生活を経た後、スイスの専門学校でジャズを学び、現在ドイツで活動しています。【5】『私はハッピー』は、ポップな曲なので、ジャズ・シンガー?と思われるかもしれません。彼女の音楽にはそれぞれの土地で吸収した影響が素直に反映されていて、スイス在住のジャズ・ミュージシャンとレコーディングした2011年の新作『ソー・ハッピー』はとてもバラエティ豊か。ジャズとセーシェルの民族音楽が融合された曲もあり、この多彩さが彼女の才能でもあります。
マーグレット / Margret

高い空にかかる細い筋雲のように儚い響きのヴォーカル。その声で囁くように歌うマーグレットは、NYを拠点に活動していますが、彼女もまたボサノバに魅了されたひとり。ヴィブラフォンのイントロがラヴリーな【6】『ブルー・トレイン』は、2011年の新作『コン・ヴォセ』からの曲になりますが、このアルバムが美しい。繊細でドリーミングなサウンドに優しく包まれるような歌がいっぱい詰まっています。NYのジャズにイメージする音楽とは一線を画すマーグレット。こういうアーティストもいるからNYはおもしろいのです。

グレッチェン・パラート / Gretchen Parlato
新人の登竜門である「セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション」の2004年大会で優勝したことで、一躍注目のシンガーとなったグレッチェン・パラート。翌年にはデビューを果たし、2009年には初来日公演を行っています。オープニングからミュージシャンの演奏に刺激されながら展開されるインプロビゼーションが印象的な【7】『ハウ・ウィ・ラヴ』。彼女がなぜハービー・ハンコックやウェイン・ショーターから高く評価されるのか。それがわかる曲になっています。2011年の新作『ロスト・アンド・ファウンド』の収録曲です。2012年2月21日~23日 COTTON CLUB来日公演決定。

フロレンシア・ルイス / Florencia Ruiz

フロレンシア・ルイスは、熱烈なファンが日本にもいるアルゼンチン出身のシンガー・ソングライター。作品ごとに異なる音楽で新たな面をみせてきましたが、2011年発表のアルバム『ルス・デ・ラ・ノーチェ』は、ミニマルなサウンドに挑戦。チェリストのジャキス・モレレンバウムなど南米を代表するミュージシャンと2年をかけて制作した意欲作でもあります。音を最小限に抑えつつ、その音の波間に揺れるように歌う【8】『エストゥーベ・アシ(私はこんな風だった』。蒼い夜空を照らす月のような神々しくもあるヴォーカルが印象的です。

ライラ・ビアリ / Laila Biali

カナダで生まれ、10代でジャズに興味を持ったというライラ・ビアリ。現在はNYを拠点にシンガー、ソングライター、ピアニスト、アレンジャーとしても活動しており、透明感溢れるナチュラルなヴォーカルと確かな歌唱力がアーティストからも高く評価されていて、スティングに請われて、彼のバックを務めた経験もあります。フランス語で歌う【9】『チェイシング・タイズ』は、2010年のアルバム『トレイシング・ライト』からの曲。グィド・バッソのハーモニカが郷愁を誘います。アルバムではスタンダードも取り上げています。


エリン・ボーディー / Erin Bode

マリンバのイントロに心奪われ、エリン・ボーディーの優しく、温かなヴォーカルにトリコとなる【5】『手紙』。エリンは、ミネソタ大学などでジャズを学んでいますが、ジャンルの枠にとらわれない、イマジネイションに忠実な音楽を大切にしているシンガー・ソングライターです。過去にはニューヨークなど都会でアルバムを制作したことはありますが、2010年のアルバム『フォトグラフ』は、ミネソタに帰郷し、地元のミュージシャンとリラックスした環境のなかでレコーディング。それがこの温かさにつながっているのかもしれません。

ジューサ / Yusa

ジューサは、キューバ出身のシンガー・ソングライター。音楽学校でジャズなどを学び、日本の俳句を愛する知性派です。2002年にアルバム『ジューサ』で日本デビューしましたが、ジャズをベースにラテン音楽を融合したエネルギッシュな音楽で多くの人を圧倒しました。その後、国の許可を特別に得て、活動拠点をアルゼンチンに移しましたが、そこでの経験が彼女をさらに成長させたことを【15】『別れ』のパフォーマンスが証明します。音楽への漲る情熱とそこから生まれるエネルギー。それを実感していただけることでしょう。







『毎日ジャズを聴きたい~オリジナル編』
ヤマハ 15曲 1200円

1『アモール・パラ・ソナール』ポーリン・ロンドン
2『ジョビン』カルメン・クエスタ
3『サンバ・ナダ・ブラマ』ローリー・アントニオーリ
4『私のワルツ』メッテ・ジュール
5『私はハッピー』ベルジッタ・ヴィクトール
6『ブルー・トレイン』マーグレット
7『ハウ・ウィ・ラヴ』グレッチェン・パラート
8『エストゥーベ・アシ(私はこんな風だった)』フロレンシア・ルイス
9『チェイシング・タイズ』ライラ・ビアリ
10『手紙』エリン・ボーディー
11『ザ・ウェイ・ユー・クローズ・ザ・ドア』メッテ・ジュール
12『トリステ』カルメン・クエスタ
13『ウォーキン・オン・ザ・サンド』ポーリン・ロンドン
14『ウィーン・ブルース』ローリー・アントニオーリ
15『別れ』(ライヴ版)ジューサ
バックナンバー
digital linernote
PAGE TOP↑